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● 赤目四十八滝心中未遂
Top ゴールデンアウトロー賞
荒戸源次郎(監督)

同時代の小説に惹かれるということが今までにありませんでした。小説の内容というよりは、車谷長吉の小説を書く姿勢みたいなものに(触発されて)、車谷さんが小説を書くように映画ができるだろうか、と思い、やれるかどうか自分を見てみたいという気持ちからこの映画を撮りました。
蝉みたいですが、6年間土の中にいまして、今日はじめて外に出たという感じです。
撮影中も取材には入っていただきませんでしたので、今日がはじめてのお披露目です。
30年近く映画をやってますけれども、毎日楽しかったです。辛かったのは、撮影しない時間が辛かったですね。前は自分が裏の裏でしたから、楽しそうにしているのが仕事でしたけど、今度は本当に楽しかったです。こんな楽しいことはありませんでした。堪能しつくしました。

大西滝次郎(生島)

主役っていうのは、僕の中で大きなことではなかったんです。映画も始めてですけれども、僕も生島と同じように何でもないただのお兄ちゃんだったので、一つのことにどこまで打ち込めるか自分をためしたくて、精一杯やりました。
荒戸さんがすごい本気で、この人の本気がいかに怖いかということを知っていたので、それ以上に、自分ができれば、何かになれるかなと、その思いだけでやったんで、不遜な言い方をすれば、何と言われても、僕自身に反省とか後悔は全くないです。

寺島しのぶ(綾)

6年前に「赤目四十八瀧心中未遂」というタイトルに惹かれて原作を読みました。何がいいっていうのがわからなんですけど、その日は眠れなくって、バンって撃たれたような感じだったんです。
思わず本に挟まっていた読書カードに、ぜひこれを映画化して頂きたい、やるならば私の名前を覚えていて下さいと書いて送っていたんですね。車谷さんが6年間その手紙を持っていてくださって、それが運命で荒戸監督にも出会えました。
映画とは縁がないのかと思っていたんですが、やりたいなと思っていた役に出会えて本当によかったと思います。
(大森監督に汚れ役を一度やってみようと思ったのかと聞かれて)汚れ役に読めなかったんですよね。とても純粋な男の人と女の人の悲しい恋愛だなと思って、あまり汚れ役という感じはしなかったんです。

内田裕也(彫眉)

荒戸さんおめでというございました。
去年、一年間、緊張感を保つのに大変だったのですが、「踊る大捜査線」に対抗した素晴らしい映画になったと確信しています(笑)。
題材が、人間の底辺の苦悩を描いているのに、このハイアットリージェンシーのディナーショーで、高額なお金を取ってやるというのが、ちょっとこのへんが自分にはまだ納得がいかないんですが(笑)、たまには、ミスマッチがいいじゃないかと思っております。
今日は寺島さんも、人間国宝の父親、それからお母さんもお見えだとのことで、俺も家族を呼ぼうと思ったのですが、電話番号すらわからなかった(爆笑)。

大楠道代(勢子)

大西君としのぶちゃんとは反対に、この映画からどうやったら逃げられるか、どうやったら断ることができるかというのから始まりまして、まず6年前に荒戸さんが映画化するというときに、原作は読まないでくれと言われておりましたので、まじめに読まないでずっといたら、6年経ってしまいまして、やっと映画化するというときに一応(原作を読みました)、久しぶりに荒戸さんがお撮りになるんだから、一緒にやりたいという気持ちはあったんですけれども、本を読めば読むほどこの勢子姉さんをやるのが嫌になりまして、やっている間も嫌でしたし、病気とか、怪我とかにならないかな、そうしたら、今なら降りられのになと思いつつ、最後まできてしまいました。

大楽源太(真田)

そもそも映画を志したきっかけが、荒戸さんの作品であったり、勝さんの仕事であったりというのがありまして、荒戸さんと会えたということが、それ自体、自分にとっては、奇跡のようなことで、今でもぜんぜん現実感がないんですけれども、今回、真田という役をやらしていただいて、もうわけのわからないまま、時間が経っていったというような感じです。

新井浩文(犀)

荒戸さんに拾われてこの世界に入ったんですけれども、当初デビュー作の予定だったんですが、他の作品でデビューしました。
今回、荒戸さんと仕事をして、最初は照れくさかったんですけども、すごい嬉しくて楽しくやれて、大西さんは映画の世界に入って、はじめて優しくされた先輩で、すごいよく知っているんで、それも嬉しくて、大楠さんにもかわいがっていただいて、思い入れの強い作品なんで、とても楽しくやれました。

上野昴志(映画評論家/記者会見司会)

鈍色に沈んだ尼崎の路地が、綾が現れた瞬間、そこだけ絢爛たる花が開いたように華やぐ、ファム・ファタール、寺島しのぶ。対する主人公・生島与一を演じるのは、笑顔より哀しみが似合う面差しの底に、日本刀の底光りする艶をもった大西滝次郎。こちらと向こう、二つの世界の境界を生きる勢子ねえさんに、大楠道代。魑魅魍魎の跋扈する向こうの世界にいる刺青師の彫眉を内田裕也。毎日、敵意を全身に現しながら決まった時間に生島のもとに臓物を運んでくる犀と呼ばれる若い男、新井浩文。一瞬のうちに見せる表情の変化に狂気を宿らせて、自分が妹(綾)と似ていると信じて疑わない刑務所帰りの「くすぼり」、大楽源太。(『赤目四十八瀧心中未遂』パンフレットより抜粋)

大森一樹(映画監督/トークライブ司会)

東京で何度か試写会やっておりまして、この映画は、映画監督がよく試写を見に行っているんです。映画監督は、他人に厳しく自分に甘い人たちが多いんですね。いろいろ批判もでるし、いろいろあるけれども、寺島しのぶはいいというのが統一見解でした。左右に揺れるのが主人公の大西さんなんですが、自己主張しない主人公をやるのは本当に難しいことだったと思います。そのことをわからない人が、あの主人公は主人公らしくないと言うのだと思う。
キャスティングで一番度肝を抜かれたのが内田裕也さんでした。こうくるかというぐらい、すごい芝居するんですよね。失礼ですが、びっくりしてしまいました。

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